内藤の最大の魅力は、その絶対に自分のスタイルを変えない「頑固さ」だと思う。
試合スタイルは棚橋やオレンジ時代の武藤の影響が強いが、その精神性はむしろ真逆だ。
今の新日本で言うなら、石井や柴田にこそ近いものを感じる。
どんな相手だろうと、展開だろうと、強引でも自分のやりたい試合を貫く、頑迷にも見えるスタイル。
一見すると今の新日本の主流の、華やかで巧さや発想で魅せるレスラーに思えるが、芯の部分では古典的な「固い」新日本。
そのスタイルと思想のアンビバレンツな感じは、ブレていると言えばブレている。
しかし、その部分がオカダと対するとなんとも魅力的に映る。「こいつには負けたくない」という気持ちが伝わることで、一貫性を持つのだ。
このライバル関係があと何年も見られるのだから、新日本って凄い。
2.矢野VSアンダーソン
単純に一番面白かった、試合巧者どうしの化かしあい。最後のレフェリーを巻き込んだ金的の攻防は、トムとジェリーみたいで、矢野VSみのるに匹敵する名物になりえるカード。今後まだまだ進化しそうな発見だ。
3.鈴木VS高橋
いつも飄々とした裕二郎が、アクセルを踏み込む相手が何人がいる。その一人が鈴木みのるだ。
パワー差を見せ付けるようなスラムで投げきり、顔面にラリアットをぶち込む。多分、嫌いなんだろうな、という生の感情が試合から見えるのだ。
そしてそれに応えるみのる。引きちぎるようなアキレス腱固めに、KO狙うような張り手。力の差を見せた勝利も、その怖さを引き出したのは裕二郎の遠慮のない攻めだ。毎年G1で当たっているが、隠れた名勝負数え歌と言っていいだろう。
MVP
内藤哲也